スキマ産業vol.45

【REVIEW】9.11@木屋町UrBANGUILD スキマ産業vol.45
~RyoHamamotoレコ発編~

Ryo Hamamotoと出会う

数年前、青山月見ル君想フでご一緒したのがきっかけ その妙な時代性のなさは、逆に自分の中にはストっと降りてきて「ええ音楽ダナ」と思ったのがファーストインパクト。 イケ面風の本人に声をかけてみるとなんつーか酒に酔って気のいいあんちゃん。 すっかり好きになってしまい、そっから関係が始まったのであった。 ちなみにその日のイベントは、当時下北沢440でもブッキング、イベントをしていた 金杉さん。現在は京都在住で我々のイベント「スキマアワー」も手伝ってくれていたりする。このご縁にほんと感謝。忘れられがちだったり、クローズアップされることは少ないが、こういった人たちの尽力で、我々は一生涯の友人やアーティストと出会ったりする事も少なくはない。金杉さん、ほんとにありがとう。

ブッキングへの考察

その後、東京のライブの際は見に来てくれたり(大体へべれけ) スキマアワーでmooolsを招致した際、ギタリストとして参加していて再会したりと、その縁は続くのであった。ちなみにこの日のスキマアワーは夜の部アバンギルド、共演が、スーパーノア、bed、moools、bloodthirsty butchersの故吉村さんソロというロックメンツ。そんな彼から、久しぶりフルアルバムリリースの一報。一聴して、安定の変わらなさ。ただただ新しい音楽を探してCD屋をめぐった90年代を思い出させてくれる良質なものだった。これはぜひ、アバンギルドで開催したいと企画即決。そして浜本氏と相談しながらブッキングを行うのであった。 彼のレコ発だ。彼が喜び、彼のお客が、また彼を知らない人が彼を好きになる、もしくは、好きになる可能性のあるお客が集まるブッキングにする必要がある。そう考えた時、共演に浮かんだイメージは 「ギターが歪んでドラムが鳴り、抗いを感じる歌がのったロック」 「浜本氏の柔らかい部分にリーチした、聞きやすいポップなテイスト」 「シンプルに歌の良さ」だった。

吉村秀樹

共演者達

artists

そういった観点から関西のバンドを見渡した際、目に、、もとい耳に留まったのが 「bed」「AYNIW TEPO」「senoo ricky」であった、RyoHamamotoは今回のリリースの&recordsと昔から縁が深い、ならば、そのレーベルと縁のあるアーティストをブッキングすべきかとも思ったが、我々にオファーが来た以上、我々にしかできないブッキングにしたいと思った。各アーティスト、返事は即決であった。時々こういう事がある。 「bed」はRyoHamamoto新譜リリースにも反応していて納得だったが、「AYNIW TEPO」の即決には嬉しい驚き。旧友「LOSTAGE」のレーベル“Throeat records”から今年リリースした彼女たち、前身バンドでの共演もあったが、当時、正直そこまでのパンチは感じなかったが、現バンドになってからの曲を聞き、また、今回のアルバム収録曲“Gingko”を聞いてうれしい驚きを感じたバンド。奈良出身者としては奈良のバンドとの交流を深めたいと思いつつ、なかなか縁に恵まれなかった昨今、まさか同じ出身中学のメンバーがいる彼らと交流をはかれるとは。うれしい誤算。 そして、普通の音楽イベントではなく一ひねり欲しいなぁと考えていたところ、「senoo ricky」の名前が。「LLama」「YeYe」のドラマーとして、他にも「Turntable films」「長谷川健一バンド」での活躍、というところもある彼だが、正直個人的には、彼については、歌のが10倍ぐらい好きである。フォーク・カントリー、60年代の香りも残しつつ、現代の匂いがちゃんとする彼の歌は、根底に“歌心”が根付いたもの。浜本氏との親和性はバツグン。ということで、フロアより会場を温めてもらう“友情出演”でオファー、快諾いただく。8月に開催した「スキマアワー」のダメージにより出遅れた感があったが、フライヤー・サイト更新とすすめ、当日を迎える。

RyoHamamoto

AYNIW TEPO

AYNIWTEPO

AYNIW TEPO

「AYNIW TEPO」で空気は温まる。彼らもまた遠距離バンド、が、それを思わせないグルーブ。垣間見えるのは信頼感。音楽は人となりが伝わる。人との関係性が伝える。ここにいない背負わない奴らの歌は響きやしない。音源で何度も聞いた歌を目の前で見た。シンセとギターとドラムとベースと。歌を際だたせ、歌を増幅させ、メロディがこだまする。視線の先には彼女達の世界。これは圧倒的な始まりの合図だった。アバンギルドがこだまする。

bed

bed

bed

当初の予定を変更して、ここで「senoo ricky」によるfloor live。 思いのほか(!失礼)ハマりすぎて二曲ぐらい、、のつもりが思わず聞きいってしまう。奴さん、いい仕事っぷり。オーディエンスの目線はPA前の後ろに。

「AYNIW TEPO」の温度感をいい感じに保った空気を切り裂くロック。「bed」の演奏がインターバル無しで開始。この日の彼らは所轄“エモ”かったように思う。「45回目のスキマ産業に僕らの居場所があって良かったです。」山口くんの言葉は、30代を超えて活動の困難さを周りのバンドの活動からも、また自身の活動からも感じずにはいれない、そんな想いを感じる。MCも言葉を選ぶ感じがストイックで良い。 初めて出会ったのはネガポジで彼らと俺は前身バンドだった。時がたち、終わりや始まりを目の当たりにして、ここで共演とあいなったのは、偶然ではない。必然だ。シンプルにギターとベースとドラムと歌が叩きだすロック。アバンギルドが歪み・グルーブする。個人的にFugazi以降と感じる日本語ロック、もっと前はもっといた感じの音。淘汰されていく中で洗練されたのがbedだ。今は、より個性の塊に聞こえる。

キツネの嫁入り

キツネの嫁入り

松原明音

SE・転換をはさみ、我々キツネの嫁入り
イベントの成功は主催バンドの良いライブにこそあり。

<set list>
最終兵器
オービス(仮)
one day
山羊は死刑台に上らない
奴ら
死にたくない

キツネの嫁入りは歌モノでありアコースティックでありプログレでありロックだと思う。が、ゆえのこのブッキングとの馴染み具合への自負。どこにも属さない咆哮。子供の誕生とGのザッキーの東京転勤は、活動停止への発想などは一ミリもなく、この状況下で生まれるだろう新曲と見えない未来への活動は楽しみでしなかった事を思い出す。その環境、その状況が特異であればあるほど、余計な事はそぎ落ち大切なものが露呈される。さるちゃん加入後の難曲、オービスへのつなぎや山羊は死刑台の上らないへのつなぎをこってみた。メンバーが揃わない。リハができない。そんな中、最大限出来る事をやりつくるのがキツネの嫁入りだ。いつも通りの“世界”で次へつなげる。

senoo ricky

senooricky

senooricky

1回目のステージと変わり、昔の曲も交えての「senoo ricky」のステージ そうか、そうだったなと納得のステージ。彼は“歌”うたいだ。
改めてだが、彼はドラマーとして見られがちな昨今だが、シンガーである。少なくとも俺の中では。元々は「sistertail」という名義で歌ものバンドとして活動しており、アルバムも一枚リリースしている。このアルバム“enter”を聞いた事がある人は頷いてくれると思うが、10年前ぐらいにできたアルバムだったかと思うが、これが実によくできている。昨今のはっぴいえんどやシティポップくずれのバンドの音源の数倍いい。が、ゆえに次回のセルフシンガーの作品としてはハードルが高くリリースにつながらないのかもしれない。彼に伝える事があるとすれば限りある時間の中、一つでも後世に残る作品を残してほしいという事。

RyoHamamoto

RyoHamamoto

RyoHamamoto

ここでオンタイム。RyoHamamotoバンドセットのライブは始まる。
序盤、音問題に悩まされる浜本氏、気負いすぎの面も垣間見える、いい意味でも緊張感のある空気、MCで和やかに戻しつつもCD以上の音楽を聞かせてくれる。ほぼ今回のアルバムからのセットリスト。何回も何回も聞いた楽曲が目の前で繰り広げられる不思議感。ヒットチャートに名を連ねるわけでもないとしても、何年も先に、ふと聴きたくなる大切な音楽がここにあると思った。ガリバーさんと神谷さんのリズム隊も最高。ガリバーさんのコンバスの使い方がもったいなくもあったけど(笑 うるさくないドラム、耳に馴染むベースは、引き際を知り、押し際で前に出てくる。シンプルに歌が聞こえる。アバンギルドは歌のハコだ、とこの日、再度思った。もっともイベントによって顔を変えるのもアバンギルドだが。ここでこの曲がライブが聞けてよかったなと、一息つきながら見た。彼によるところのリベンジ。また、ここで聞けるならいくらでもリベンジしてほしいものだ。

リハーサルのトピックとしては、
・「AYNIW TEPO」機材すんごい
・リハ中我が子が寝ててくれる
・予想より早く到着のRyoHamamoto
・本番しか全員そろわないキツネの嫁入りはリハ後スタジオ
といったところ。

うまくいったりいかなかったりがライブイベントだ。

また、本番は、トラブルもあり最終的に終演は遅くなっってしまいお客様にはご迷惑をおかけした。

キツネも東京組、大阪組などは帰路につき残った出演者で記念撮影。
いい顔。
撮影はいつもの岡安いつ美。いい写真を撮る。すっかりファンになってしまったな。陰影と質感。ブラウン管ごしにも伝わる。撮影後会場の片隅でビール片手に一息ついている彼女の背中越しのシルエットが好きだ(笑

RyoHamamotoのお祝いに、「bed」との邂逅、「AYNIW TEPO」との出会い、「senoo ricky」の再確認と思惑通りの夜、これは始まりの夜だった。
会場を提供してくれるアバンギルド、たくさん来ていただいたお客さんあってのイベントの成功。予定人数に達さなかったのは主催の力不足。課題だ。45回イベントを続けてきて思う事の一つに、続けてるだけじゃ、何の意味もないという事がある。要は「今」いいイベントを開催していないと意味がないという事。たくさんの人に継続する難しさとそれを実践する事への賛辞の言葉をいただくこともあるが、自分としては、そこに乗っからないように気をつけねばと思うのであった。とはいうものの、この日の打ち上げ時の俺が、トランペット松原明音いわくところの「やけに」楽しそうだった。という言葉が象徴するように、個人的に随分楽しかった。主催はいいライブして一番楽しまないといけないと思う。ジャンルレスの異種イベントに興味を失ったオーディエンスがすっかり増えてしまった昨今だが、この日はただただいい音楽が鳴り響いていたように思う。

次回はどうしようか。
スキマ産業は続く。

みなさま、ありがとうございました。

時々質問を受けることもあるのだが、場内SEはいつも、マドナシ個人の嗜好で、その日のイベントにあわせてチョイスする。この日は、90年代とオルタナと東欧系ジャズとポップスであった。いつも直前にバタバタするわけだが、SE選びというのは、子供の頃の「ベストテープ」作成に似ていて楽しいものなのであった。

<場内SE>
Fell On Black Days/Soundgarden
Rain Song/Sunny Day Real Estate
Ground On Down/Ben Harper
ハナレバナレ/キセル
Tightrope/Shugo Tokumaru
Dreaming/Avishai Cohen
Pt1 Collapse/Tigran Hamasyan
Flowers _ 路傍の花/LOSTAGE
Wishlist/Pearl Jam
アナーキーダンス/downy
Sim Sala Bim/Fleet Foxes
1-02 Song for Melan and Rafik/Tigran Hamasyan
THA BLUE HERB-続・腐食/THA BLUE HERB
Guitar And Video Games/Sunny Day Real Estate
Violent Life/Blonde Redhead
Seven Seas/Avishai Cohen
Las Vegas Dealer/Gomez
春と修羅/downy
1979/Smashing Pumpkins
ANA/Nhhmbase
12 Road Song/Tigran Hamasyan
手紙/LOST AGE
凍る花/downy
Low Light/Pearl Jam
Hyperballad/コトリンゴ
wonder world/oono yuuki
SAFE DRIVING/WUJA BIN BIN
THA BLUE HERB-Mainline/THA BLUE HERB
下弦の月/downy
Dror/Avishai Cohen