びょうにん
病院にいった帰りの路はいつもと違って見える。道でたまっている子供達
営業風の携帯を片手に走るおじさんだるそうにちらしを配る女の子
これらは時として嫌悪感の対象になりえるものだが
「失いゆくもの」
として捉えると愛おしさすら感じるあたり
「人間は感傷的な生き物」
と誰かがいっていた言葉は、あながちあたっている気がすると思いつつ。
知っている人と話す気分でなかったので目に付いたカフェに入る
ワインと軽いつまみをたのむ。 店内にはジャズのような音楽がかかり
(俺はジャズを定義づけできる程ジャズに関して詳しくない。)
店内には若者のグループ4人組とカウンターで一人で飲んでいる女性
奥の席でノートパソコンに向かう青年
一瞬デジャブのように風景が歪んで見え懐かしい気がした。
カウンターの女性に話しかけようかと思ったものの今日はそんな元気もなく。
若者のグループは大して盛り上がるのでもなくぎこちない様子だ。
いわゆる合コンとかそういうノリなのだろうか。時折聞こえてくる会話も
弾んでいるというにはほど遠い感じだ。
ふと目線を感じるとノートパソコンを一心に触っていた青年が俺の方を凝視していた。
はは
おどけて手をあげてみる青年はきづいたのか。慌てて画面に目線を戻した。
カウンターの女性はひたすら物思いに耽っている感じで。別れた彼氏のことか
はたまた仕事で悩んでいるとか。 久しぶりに飲むアルコールは体を駆け巡り
春だってのに思わずジャケットを脱いでしまう。