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びょうにん(2)

俺はさっきからずっと頭の中でながれている曲を思い出そうとして
そればかり考えていた。
さっきの病院での先生の言葉が蘇る。蘇っては忘れ思い出そうとして忘れ
目に映る景色はただ映っているだけでなんの記憶も残らない。
こないだ友人と話したリアルかそうでないかって話を思い出す
その流れからいくとあの合コンしてる若者達は明らかにリアルだなどと思いつつ。
チーズに手をのばす。

カウンターの女性が立ち上がった店をでるらしい。会計をしている 。
じっとみてると一瞬目があった。そこに浮かんだ色は憐れみに近い色だった。
彼女が去った後にはなんの匂いも残らなかった。

パソコンを触る青年が手を止める。
一瞬店内の空気が希薄になった気がした
窓の隙間から明日がみえたきがした。視界がぼやける

歌が聞こえた。

今夜
ここで君を待っている間は
君は僕のものだ

なんかそんな歌だった。見慣れてしまう風景 至極当然の日常 無意識下でしか
視界にも入らなくなった風景 そんな物の数が多ければ多いほど
幸せとやらは近くにあるのか

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