コーヒー
突き刺さったやつに限りなく近い代物。
テレビではニュースが流れている
ワタシはテレビを見ていない。
思い出したのは、コンロにかけっぱなしのやかん
聞こえてきたのは、
赤ん坊の泣き声よりは発情期のネコの鳴き声に近いやかんの鳴る音
ニュースに目をやり
破片の一つを手にとって
台所へ向かう
それは記憶の一部
思い出した事すら忘れてしまった。
赤ん坊の泣き声が
電話の着信音に変わる。
ワタシには電話の音が聞こえない。
そういう事にしてやかんをコンロからはずす。
破片はそのままだ。
昨日食べた物を台所の流しから思い出し
明日食べるはずのものを想像する
外からは本物の赤ん坊の泣き声
きっとおなかをすかせているんだろう。
そういうのはスマートだ
年相応の話。